新東亜
2016ピョンガン-新東亜杯ワールド囲碁チャンピオンシップ
熱を帯びた4ヶ月長征 無名‘シュンリ’逆転優勝

●中押し負けの後2連勝…“冷静で光っていた”
● 6才の時‘マア・シャオチュン道場’で石を握った英才
●ビョン・サンイル4段準優勝…“誤ったミスで大石捉えられず”
● 1000人余り出場して話題追求

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第2の柯潔が現れた。

無名の中国新型巨砲シュンリ(大会IDはShunliguog)が第5回2016ピョンガン-新東亜杯ワールド囲碁チャンピオンシップで優勝して‘第2のコ・ジェ’として注目されている。

シュンリは5月6日サイバーオロ‘オロ対局室’で開かれたピョンガン-新東亜杯決勝三番勝負最終局で韓国の強者チョココロネパンに166手で勝って優勝トロフィーを握った。

シュンリは決勝1局で199手中押し負けしたが2局では195手中押し勝ちを引き出して勝負を原点に戻した。 最終局では中国特有の‘慢慢的’戦略でチョココロネパンの‘速射砲猛攻’を愚直に耐え抜いて時間切れ勝ちを引き出した。 

ピョンガン-新東亜杯決勝三番勝負はインターネット囲碁大会史上初めてアフリカTVを通じて生中継されて囲碁ファンたちを熱狂させた。

アフリカTV中継解説を引き受けた人気BJ(囲碁ジョッキー)プロヨヌは“時間切れ負け? オーマイガー! こんな事になるとは”と言って髪の毛をむしった。

彼は時間切れ負け直前まで“ゴールインが目の前だった。 白(シュンリ)大石がほとんど捕えられた”として韓国代表チョココロネパンを‘偏向応援’したが、時間切れ負けが確認されるとすぐに実際のチョココロネパンをむしゃむしゃかんで物足りなさをなだめた。 

 

韓中最上棋士連破

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▲韓国の‘チョココロネパン’が時間切れ負けするとすぐに生中継解説をしたBJ ‘プロヨヌ’がチョココロネパンを噛んで 惜しんでいる。[写真提供・サイバーオロ]

 
げんこつで自身の頭を叩いて自ら叱責したチョココロネパンは“大石を捉える方法が多かったが残念だ。 中盤大石追求をしている間、誤ったミス(147手)をしながらこれ以上大石を捉えるのが難しかった”と言った。 

実名の代わりに‘ID’を掲げて勝負を競うインターネット囲碁大会であるだけに、龍虎上腕の力比べを広げた優勝者と準優勝者に対するネチズンの関心も高かった。

ネチズンはトッププロ級強者という事実とは知らされていない上手の秘密を捜し出すために今回の大会対局を復碁や決勝進出者の囲碁スタイルを分析するなど‘身上荒らし’に熱を上げた。

‘新東亜’取材結果、今回の大会優勝者シュンリは中国浙江省出身のトン・モンチョン(童夢成・20) 4段として確認された。

彼は中国国家代表囲碁チーム監督出身のマア・シャオチュン(馬暁春) 9段が導く名門‘マア・シャオチュン道場’で6才の時から囲碁を習い始めた囲碁英才だが、2012年百霊杯64強に上がって初めて名前を知らせただけで、まだこれという成績を出すことができていない。 昨年全世界新鋭が参加する利民杯で16強に進出したのがこれまで最も良い結果だ。 現在の中国ランキングは23位。

現在世界最強者である中国のコ・ジェ9段も2014年第3回ピョンガン-新東亜杯に出場した時は無名に近い新鋭であった。

しかしこの大会優勝後、百霊杯(2014年)、三星火災杯(2015年)、夢百合杯(2016年)を続けざまに席巻して世界最強者として登板し、2012年2回大会優勝者アン・ソンジュン6段も優勝後、韓国物価情報杯優勝(2012年)、三星火災杯8強進出(2013年)等、常勝疾走した。

ピョンガン-新東亜杯が‘幸運の大会’としてうわさが立って‘新鋭登竜門’と位置づけた理由だ。 



‘オンライン上手’盤上武芸劇

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▲優勝者‘シュンリ’ トン・モンチョン4段。 [写真提供・ピョンガン漢方医院]
 
今大会ではシュンリが‘バトン’を受け継いだ。 32強戦からシュンリが破った強者の面々を調べれば専門家たちがなぜ彼を‘第2のコ・ジェ’として注目するのか知ることが出きる。

彼に苦杯をなめた予感の良い日(韓国・32強)、gunners(韓国・16強)、sundayf(中国・8強)、10scking(中国・準決勝)、チョココロネパン(韓国・決勝戦2勝1敗)は韓中両国の最上級プロ棋士として知らされた。

この中では応氏杯優勝者と韓国KBリーグ 上位ランカー、中国甲級リーグ 上位ランカーなどが布陣したが、シュンリは峠ごとに特有の根気と底力を発揮したあげく逆転劇を編み出した。 

決勝で敗れたチョココロネパンは新人王出身のビョン・サンイル4段(19・ゴールデンベル道場出身)として知らされた。

彼は2012年最年少で百霊杯世界大会本戦に進出し、2013年東亜パームテック新人王、2014年新人王2連覇、韓中新鋭対抗戦優勝、LG杯世界大会16強、2015年LG杯チャレンジャーズカップ優勝、三星火災杯世界大会8強など派手な経歴を誇る。 

ソン・ジョンス世界サイバー棋院常務は大会を見守った所感をこのように話した。

“ピョンガン-新東亜杯が棋戦規模を大幅に育てて韓中両国のファンたちはもちろん、最高級プロの関心も大きくなり競争もはるかに激しくなった。 GSカルテックス杯で優勝したイ・ドンフン5段と‘ポスト イ・セドル時代’の希望に選ばれるシン・ジンソ5段、応氏杯世界大会優勝者パン・ティンウィ9段、利民杯優勝者グー・ズーハオ4段など超強者が大会序盤に脱落する程激しい激戦が続いた。 

今回の大会が釣りあげた最大魚はやはり優勝者トン・モンチョンだが、現在の中国甲級リーグでも序盤戦績3勝1敗でトップグループに上がって第2のコ・ジェとして期待を集めている。

中国は30人余りの新鋭強豪がトップを威嚇するのに反して韓国はビョン・サンイル、イ・ドンフン、シン・ジンソ、シン・ミンジュン以外に目につく新鋭がいなくて心配だ。 ピョンガン-新東亜杯が新鋭の奮発を促進する刺激剤になれば良い風だ。” 

新年早々に幕を上げて4ヶ月かけた大長征を終えた第5回2016ピョンガン-新東亜杯ワールド囲碁チャンピオンシップには1000人余りのプロ・アマチュア棋士が出場して‘サイバーオロ’対局室で激しい盤上の武芸劇を演出した。 

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▲準優勝者‘チョココロネパン’ ビョン・サンイル4段。 [写真提供・ピョンガン漢方医院]
 
早碁戦(制限時間20分、秒読み30秒ずつ3回)に弱い棋士は対局中の秒読みに追われて崩れた反面、‘オンライン上手’らは安定した布石で陣地を構築した後、中盤の戦闘で勝利して連勝を継続した。秒読みに入って仕掛けた勝負の賭けが敗着とあらわれた時は対局室のあちこちでため息がもれた。  

本戦3強に上がった上手は予選カットオフを経た12人の実力者と前年度優勝者など本戦シード配分を受けた各国最強者(韓国9人、中国6人、日本2人)、3人のワイルドカード出場者と正面対立した。 

今回の大会は有名漢方医院であるピョンガン漢方医院と‘新東亜’が共同主催してインターネット囲碁大会では珍しく賞金1億200万ウォンを掲げるなど多くの話題をばらまいた。

来年6回大会はアジア棋士はもちろん、北米とヨーロッパ棋士も大挙参加するオン・オフライン世界大会へと発展させる計画だ。 




インタビュー
 
-‘恐怖のソ腕組み’ソ・ヒョソク ピョンガン漢方医院長-
 
“礼儀と共生の囲碁、精神健康処方せん”
 
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ソ・ヒョソクピョンガン漢方医院長は“4ヶ月の間繰り広げられた第5回ピョンガン-新東亜杯ワールド囲碁チャンピオンシップはプロ棋士の挑戦と応戦、矛と盾が激烈にぶつかった戦場だったが、勝者は敗者を慰めて敗者は勝者を祝って共生の精神と礼儀が光った”として“今後も囲碁を通じて人類精神健康に尽くしたい”と話した。 ソ・ヒョソク院長はアマ囲碁6段で、2010年広州アジア試合大会に韓国囲碁代表チーム主治医として参加した程、熱血囲碁愛好家だ。 


-1000人を越える若い棋士が‘速射砲大戦’を行った。

“大会が早碁戦だと早碁になじむ中国選手たちの善戦が目についた。 ‘長考派’である日本選手たちは対局中盤に力比べをして秒読みに揺れる様相を見せた。 6回大会では日本選手たちの善戦を期待する。

他の大会もたくさん開かれたが、今回の大会に1000人余りの棋士が参加したことは鼓舞的だ。 ピョンガン-新東亜杯の地位がそれだけ高まって、毎年大きい規模に発展していて満たされる。 特に今回の大会優勝者であるトン・モンチョンの今後の活躍が期待される。

彼がピョンガン漢方医院の‘ピョンガンタン’(ピョンガン汁)を食べれば‘トンチュンミョン’(トン聡明)になってコ・ジェのように常勝疾走すると確信する(笑)。”

※訳注:多分トンモンチョンとチュンミョン(聡明)をかけた言い回しかと思われます。 



-国内代表する漢方医院と伝統の雑誌新東亜が共同開催して億台の賞金を掲げたうえに大会が生中継されるなど話題を集めた。

“囲碁愛好家として必ず開催したい大会であった。 囲碁で人類の精神健康向上を助けて、囲碁という共通語を通じて世界平和に寄与して、漢方医院収益を社会に還元したかった。

特に今大会は85年歴史の新東亜とともに開催してその意味が大きかった。 社会の公器であり韓国雑誌の代名詞である新東亜と漢方医学の公器であるピョンガン漢方医院が会ったので今後高級大会として位置づけるだろう。今までは主に韓・中・日3国の棋士が参加したが、来年からは全世界棋士を対象に参加範囲を広げるつもりだ。”  
 

-ソ・ヒョソク院長も‘早碁派’として知らされたが。

“そうだ。 私の早碁習性を看破したヤン・サングク9段が対局を見守って‘腕組みをして碁を打ってみなさい’と言うので腕組みをして考えて碁を打つと囲碁の実力が明確に増えた(それで囲碁界ではソ・ヒョソク院長を‘恐怖のソ腕組み’と呼ぶ人が多い)。

ところが私は勝とうとして碁を打たない。 色々な考えが多くなれば考えに浸ったまま碁を打つ。 すると心が安らかになり精神も澄む。 精神の健康に囲碁ぐらい良いスポーツはない。 若者たちも残忍なインターネット ゲームを楽しむことより囲碁を通じて精神の健康を維持すれば良いと願っている。”
 

-囲碁と精神の健康?

“大層な事ではない。 1999年アメリカ、コロラド州コロンバイン高校銃乱射事件を覚えているか。 銃器を無差別乱射して学生12人と教師1人が死亡したが、犯人の母が、3月‘母の審判(Mother's Reckoning)’という懺悔録を出した。

母は‘息子が高校進学してコンピュータにハマってうつ病の症状を見せたが識別する事ができなかった。 息子は別の世界で生きていた’と書いたのだ。 コンピュータ ゲームにハマった息子を知らなかったのだ。 

アメリカ ハーバード大など3つの大学研究チームが昨年4月発表した研究報告書によればアメリカ人の10%が怒り調節障害を体験しているという。

一般人は1人当り銃器1丁を持っているが怒り調節障害者は1人当り6丁以上の銃器を持っているという。 いつでも銃器乱射事件が起きることがある。 ところが銃器規制の声は高いが、人には注目しない。 銃器事件を犯さないように積極的に予防するべきなのだが。 そのためには、体と心が共に元気でなければならない。 囲碁が一つの解決策になることができる。” 


-具体的に説明してほしい。 

“人をたくさん殺すほどレベルが上がる殺人インターネット ゲームを楽しむ世の中だ。 ‘これではいけない’と思って大会を開いた。 囲碁を薦めたかった。

囲碁には礼儀と共生がある。 初めて囲碁に接すれば‘定石’から習うが、攻撃と守備に最善である決まった方式で石を置く。 これは自分一人が勝つのでなく共生をする最善の手をいう。

負けても再起を狙って、自分自身を修養して元気な挑戦意識ができる。 一手、一手最善を尽くす過程の中に喜びと成就感があって人生に対する悟りもある。 

どれほどの思いで中国の習近平主席は外交官たちに囲碁を薦めて、初等正規過程で囲碁を教えるようにしたか。 何年か前の中国プロ棋士常昊9段と対局する機会を持ったが、いつか習近平主席ともそのような機会を持ちたい。”
 

-スモッグと黄砂による中国人の肺健康と人類精神の健康のための対局なのか。

“そうなるか(笑)。 同じ囲碁愛好家として習近平主席と囲碁、そして精神の健康に対して話を交わしたい。 彼に手ぶらで会うことはできないから中国人の肺の健康のための‘清肺秘法’をプレゼントしたい。” 
 
原文記事:新東亜