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もう囲碁歴史はAlphaGo以前と以後に分かれる

AlphaGo以後、AlphaGoシングルバージョンは韓国ランキング12位レベル‘囲碁の民主化’秒読み

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 ▲去る3月13日イ・セドル-AlphaGo第3局が終わった後の様子、同僚プロ棋士がイ・セドルの周囲に集まって復碁中。


チェス世界チャンピオンがスーパーコンピュータに敗れたがチェスは滅びなかった。スマートフォンのチェスアプリがかなりのプロチェス選手よりさらによく指すがチェスは滅びなかった。チェスを楽しむ人は変わることがなかったし、かえって底辺が拡大する効果もあったという。ただしチェスを楽しむ方式が以前と違い大きく変わったが。 

今年3月を熱い雰囲気にした'イ・セドル-AlphaGo'世紀の対決以後、囲碁界の姿にも変化が起きそうだ。 それがすぐではないといってもそうだ。 AlphaGoに使われた汎用アルゴリズムは囲碁界だけでなくあらゆる分野に衝撃を与えたが、ひとまず囲碁界に限定して話すならばその変化は個人が持つPCやスマートフォンにAlphaGo水準のサービスが始まる時として見てもかまわなそうだ。 

カム・ドングン教授(亜洲(アジュ)大学校電子工学科)は"AlphaGo以後の囲碁界は望もうが望むまいが途方もない変化を経ることになるだろう"と診断する。 最も大きい変化は"囲碁の民主化"になることという。 これは簡単に言えば超一流プロが韓国と中国ではなくてもAlphaGoをパートナーとして打つならば世界のどこででも囲碁実力を育てることができるということだ。 次のカム・ドングン教授の文は囲碁の未来に対してじっくり考える良い機会になりそうだ。[オロ囲碁]
 

○●AlphaGo以後の囲碁

AlphaGoの登場で囲碁と囲碁界は私たちが望もうが望まなくても途方もない変化を経るだろう。 西洋の歴史がイエス以前(BC:Before Christ)と以後(AD:Anno Domini)に区分されるように、囲碁の歴史もBefore ComputerとAfter Deepmindに区分されるかも……

1963年生まれであるカスパロフは1996年にDeep Blueの前身Deep Thoughtを相手にし、1983年生まれであるイ・セドル9段は2016年にAlphaGoを相手にした。 この文では20年前にこのような変化を経たチェス界を調べることによって、この文が今後囲碁人がすべき仕事を議論する出発点になるように願う。

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▲ 1997年6月基準、ディープブルーは世の中で259番目にはやい巨大なスーパーコンピュータであった。 当時スパコンの'Performanceは11.4 GFLOPS'だった。 現在は手の平に持つことができるサムスン電子ギャラクシースマートフォンのパフォーマンスの方がより良い。 結果だけ見れば技術発展が驚く程はやいのだ。



IBMのチェス コンピュータ ディープブルーは当時世界で259番目にはやいスーパーコンピュータであった。 259番目ということをどうして分かるのかと? このような順位付けが好きな人々がいる。 www.top500.orgでは1年に二度、世界で最も速いスーパーコンピュータから500番目のスーパーコンピュータまで順位を付ける。

 
コンピュータハードウェアの発展速度は驚く程はやい。 下の表は調査時点別でその当時世界で最も速いスーパーコンピュータの演算速度を青色で、世界で500番目にはやい、すなわちリストにかろうじて入ったスーパーコンピュータの演算速度を赤色で現したものだ。

緑色は1番から500番まで500台のスーパーコンピュータを同時に使う時の演算速度だ。 緑色カーブがexa、すなわち10の18乗と会う時点がまさに今だ。 それでexascale computing時代に住んでいるという話がたびたび出てくる。

驚くべきなのは縦軸がlog scaleなのだがすべてのカーブが直線に上がっているという点だ。 Log scaleで直線ならばlinear scaleに変えればexponentialカーブとなる。

その上世界で最も速かったスーパーコンピュータは7年頃過ぎればtop 500リストから脱落する状況になって、それから再び9年ほど過ぎれば私たちが持っているlaptop(ノートパソコン)がその程度の性能を出す!

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▲コンピュータハードウェアの発展速度 http://top500.org


1997年のスーパーコンピュータ ディープブルーより今日のスマートフォンの演算速度の方がさらにはやい(もちろん、チェス問題を解くには浮動小数点演算速度が全てではない)。

そして20万ウォン余りするGPUの演算速度はここに0が二つさらについて、AlphaGo(distributedあるいはクラウド バージョン)はこういうのを数百個持っている(スーパーコンピュータ ランキングで問い詰めれば400位程度にはなるようだ)。

グーグルによればAlphaGoのクラウド バージョンと‘シングル マシン’バージョンが対局すれば勝率が70%対30%程度という。 ペ・テイル博士のランキング システムによれば、勝率期待値が70%になるにはランキング ポイントで294点違いが生じなければならない。

AlphaGoのクラウド バージョンがイ・セドル9段(9784点;2016年3月基準)と同級ならば、AlphaGoのシングル マシン バージョンのランキング ポイントはこれより294点下である9490点付近となる。 すなわち、韓国ランキング12~13位に該当する。

もちろんグーグルが‘シングル マシン’と表現したのもCPU 48個、GPU 8個を装着したので一般のデスクトップ水準ははるかに跳び越える。

しかし500番目にはやいスーパーコンピュータも9年頃過ぎればlaptop水準になるが、AlphaGo‘シングル マシン’バージョンがスマートフォン程度になるまでは10年もかからないだろう。

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▲AlphaGoDistributedバージョンとSingle Machineバージョンの勝率は約70対30だった。 イ・セドルに勝ったDistributedバージョンを基準としてシングル バージョンの実力は韓国ランキング12、13位程度だと推定する事ができる。 もしスマートフォンにAlphaGoが入るならば実力はおそらくこのくらいになるようだ。
 

‘Deus Ex Machina (デウス・エクス・マキナ)’は演劇や文学でたくさん使う言葉として知られている。 良い作品は因果関係によって必然的な結末につながるが、そうでない作品では話だけいっぱい繰り広げておいて収拾がつかないから(演劇舞台の)機械装置に乗って降りてきた神と同じ存在が無理に整理する事をいう。 


いい加減なドラマで登場人物が突然交通事故にあったり不治の病にかかって死ぬように。 ところが人工知能分野では文字そのままの意味で機械(人工知能)がとても発達してほとんど神の境地に入る事を意味する。 マトリックス3部作の最終章でマトリックスを統制するシステムの頂点にある機械をまさに‘デウス・エクス・マキナ’と呼んだ。

‘デウス・エクス・マキナ’という副題をつけている下の論文は2009年に出版された。 ここによれば、

“チェスではもうコンピュータが人間よりさらに創造的(creative)だ。”
 
“創造的チェス プレーという一般的な進行(conventional move)から抜け出す危険を喜んで甘受するかの問題だ。”
 
“人間プレーヤーは形勢を判断するのだがたいていある程度の偏見を持っている。”
 
“去る10年間人間が(チェス)コンピュータと対抗するのに唯一成功的だった方法は、コンピュータの創造力を制限するために単純な道に導くということだった。”

等など。

チェスでは‘創造力’というものが人間の専有物ではなかったとのことだ。 それでチェス コンピュータのマシン ラーニング段階でもこれ以上人間の棋譜は(見る価値がなくて)学習しないという。 囲碁が例外になることがあるだろうか?

カスパロフがディープブルーに敗れた以後にチェスの人気が落ちることと心配したが、実際にさらに多くの人々が大会を観戦しにきて、また、オンラインでも以前になかった規模で討論が行われるという。 ところが観戦する様相が全く変わったということだ。

以前には人間チャンピオンに対して絶対的な尊敬を送ったが、もう彼らが仕損じる場面で‘私だけ変な手を打つ事ではないね’という快感を覚えるということだ。

人間チャンピオンのささいな失敗を前は知らずに過ぎたがもうスマートフォンで見るチェス プログラムが明らかに判断すると。

その次には‘囲碁の民主化’を話さなければならない。 囲碁で超一流棋士になるには、韓/中/日で生まれて、でなければ幼くして留学をしなければならない。

そこに道場システムがあって、入段をしてこそ超一流棋士に実戦で習う機会があるから。 ところがAlphaGoのデスクトップ バージョンが出てくればどうなるだろうか? これ以上出身国家が問題にならないだろう。

2000年と2015年のランキングtop 20チェス プレーヤーの出身国家を比較してみた。 ディープブルー以後のランキングはそのままランキングではなくてランキングの前に‘classical’がつく。 コンピュータ プログラムの実力の方がさらに高いので人だけ別にランキングを付けるのだ。 

2000年には20人のうちランキング1位カスパロフを含んでロシア国籍が7人、ソビエト連邦に属していて90年代初め独立した国々まで含めば10人(50%)が旧ソビエト連邦出身だ。

ところが2015年になればランキング1位Magnus Carlsen(ノルウェー)の場合を含んでとても出身地が多角化されたのを見る事ができる。 2016年ランキングを見れば中国棋士が20位中に三、四人含まれている。 

‘囲碁の民主化’はもう時間の問題なのだが、この機会をどのように活用しなければならないだろうか? 15年後にも私たちが世界囲碁界で影響力を行使するにはどんなことをしなければならないだろうか?

劣悪な状況でも今まで世界普及に献身した色々なプロ/アマ師範がその答を誰よりもよく知っておられるだろう。 この方に積極的に助言を求めなければならなくて、その前に必ず“最小限の礼節を守って感謝の気持ちを伝えなければならないこと”だ。
 
原文記事:サイバーオロ