歴史を二回揺さぶった人間と機械の勝利

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 ▲人間と機械は善意の競争を行うことができるだろうか。 Googleディープマインドの人工知能'アルファ碁(AlphaGo)'に3連敗したイ・セドル9段(最も左側)が4局で劇的な勝利をおさめた後記者会見場に座った。 中央はAlphaGoの父と呼ばれるGoogleディープマインドのCEOでありGoogleエンジニアリング副社長デミス・ハサビス博士、右側はディープマインドが誇る'強化学習'を総括しているリサーチ サイエンティスト デービス・シルバー博士だ。


人工知能の挑戦を受け入れた世界最強のプロ棋士は自身満々だった。 

色々な分野で人工知能は人の能力を跳び越え始めた。 しかし囲碁、囲碁だけは人間の実力に触れなかった。 19路盤の中では場合の数は宇宙の原子の数より多くてそれを全て探索するのはスーパーコンピュータでも数百万年かかるのか数億年かかるのか分からない。

囲碁は数多くの科学者を挫折させた。 モンテカルロ メソッドを使ってからは人工知能囲碁の実力が日進月歩したがプロ棋士に互先で勝つというのは話にならない説だった。 さらに4子でも勝つかどうかだった。 画期的な何かが出てくる前までは答がないと開発者は口をそろえた。

そんな中ロンドンのGoogleディープマインドが人工神経網アルゴリズムを使ったプログラムを持って挑戦した。 彼らは深層神経網を使って探索の範囲と深さを減らしてはるかに強力になったと主張した。 

その人工知能‘AlphaGo’は自ら学習をした。 クラウドに3000万個のポジションを入れて分析と自己対局をした。 棋譜一枚あたり200手ずつ16万枚の棋譜だ。 この膨大な量の棋譜を自習した人工知能は4週間に100万対局の訓練をした。 プロ棋士が1年に1000対局をすると仮定した時プロ棋士の対局量1000年分をAlphaGoは一ヶ月だけでやり遂げたもようだった。 

だが、人間の直感・創意性を越えるのはなかなか考えられなかった。 昨年10月人工知能がヨーロッパで活動する中国プロ棋士と打ったという棋譜を見ればとても発展した人工知能であることを知ることが出来たがプロ水準と認定するには不足した。



中国プロ棋士樊麾との対局とイ・セドルvsAlphaGo対局の間には5ヶ月があったがその期間はAlphaGoの技量が上昇するのに十分な時間として見られなかった。 世界最強の棋士イ・セドル9段が5-0勝利を確信したのはそのような理由であった。 イ・セドルだけでなく全世界の人々大部分がイ・セドルの圧勝を予想した。 



予想は完全にはずれた。 

ディープラーニング技術を活用したグーグルの人工知能は次元が違った。 予想を破ってイ・セドルに完勝した。 イ・セドルは言いなりになって負けた。 予想外の結果に驚いたプロ棋士はただイ・セドル9段のコンディションが良くなかっただろうとしたが棋譜を分析していって驚き始めた。 本当に完ぺきだったのだ。 失敗だと思った人工知能AlphaGoの手は一理ある手であり、さらには人間思考を拡張する程新鮮なのもあった。 



2016年3月9日、10日、12日ソウル、光化門(クァンファムン)で開かれたイ・セドルVSAlphaGoディープマインド チャレンジ マッチ1、2、3局でイ・セドルは3度全て中押し負けした。 イ・セドルの長所である戦闘力はもちろんどんな作戦も通じなかった。 イ・セドルはとても無気力に見えたしAlphaGoは無欠点の怪物と同じだった。 

1局の時中国で解説をしながら“イ・セドルらしい姿を見せてほしい”という中国最強のプロ棋士コ・ジェ9段は自身もやはりAlphaGoに勝つ自信がないとし低姿勢になった。



世界大会である百霊杯統合予選のために大挙中国に行った韓国プロ棋士は沈痛だった。 

限りなく難しいので、人間でなくてはやり遂げることはできない知的領域こそ囲碁だと考えたので一生囲碁をした。 そして誇りがあった。 ところがわずか学習期間6ヶ月で世界最強の実力を備えた人工知能の前に人間の知恵とは何だろうかと虚しくさせた。

イ・セドルが3連敗した日の12日、中国でひそひそ話をした韓国棋士はAlphaGoには弱点がないと考えることになった。 攻撃、守備、戦闘力、序盤、中盤、終盤、戦略的プレー、形勢判断など囲碁の各種要素でAlphaGoはまったくできない事がないように見えた。 韓国最高級プロ棋士のうち1人は“定先で挑戦しても自信ない。 人間が2子以下の手合割ではないか。”といった。 すべての顔はさらに暗くなった。

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▲イ・セドルvsAlphaGo対局が行われる間AlphaGoチーム員はこちら技術室で視角化されたAlphaGoの状態を見守る。 AlphaGoが自身がどれくらい有利だと判断するのかもこちらで把握する事ができる。

 
残った4、5局も展望は暗かった。 五度の対局中に相手の弱点を探すのはあまりにも少ない回数であると言うことができた。 

イ・セドルは宿舎に先輩・後輩同僚棋士が訪ねてくれば終始笑顔で、訪ねてきた人が何をどのように言って力を与えていいものかわからなかった。 しかしいつのまにかイ・セドルの顔を見ればどれくらい大きい圧迫感を受けているのか話さなくても知ることができた。 

イ・セドルはプロになって力を一度も使えずに一人の相手に3番連続負けたことがなかった。 ところがそれを体験した。 壁に向き合ったように感じられる途方もない力を持つ相手は人ではなくて顔が見られなかった。

イ・セドルは打つ手を止めて頭を上げて本能的に出てくる勝負師特有の目つきを光らせたがそこにAlphaGoはいなくてAja HunagというGoogleディープマインドの台湾系科学者が無表情でAlphaGoの手をそのまま碁盤に移してばかりいた。 

イ・セドルは14日4局を迎えた。 イ・セドルvsAlphaGoマッチを機会に、カナダに留学した10才娘ヘリムと夫人キム・ヒョンジンさんも韓国に来ていた。 ヘリムは普段囲碁はあまりよくわからないがパパが喜んだり苦しがる事が囲碁のためだということは分かる。

ヘリムはパパが機械と対局するフォーシーズンズ ホテル6階外信記者プレスルームに来て大型スクリーンに映るパパのYouTube映像を眺めた。 

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▲ 'パパ、がんばって'イ・セドル9段の娘ヘリムさんが外信記者プレスルームに入ってきて映像の中のパパの対局を見守った。


イ・セドルは2局の時使った布陣で方式を少し変えて応戦した。 初中盤イ・セドルはポイントを失わなかった。 実利を着実に占めておいてAlphaGoが挑発してくるように願った。 しかしAlphaGoは自分が有利な方式で導こうとした。 フリカワリであった。

フリカワリには正確な計算、すなわち形勢判断が必要だ。 AlphaGoが好みのものだった。 中国国家代表チーム数十人が中国でこの囲碁を検討した。 フリカワリをした時点でイ・セドルは悪い局面ではないと彼らは診断した。 

しかし直後イ・セドルが多少無理に見える中央戦を行った。 上辺と中央はAlphaGoが占領した場所だった。 そちらが確実なAlphaGoの地として固まるならばイ・セドルの敗北に直結するということだった。 イ・セドルはAlphaGoの陣地で戦おうといった。 解説者の懸念も深まった。 イ・セドルが良くならない戦いに見えた。 

イ・セドルはきらびやかに戦い、ついに妙手をさく烈させた。 AlphaGoはこの時から慌てたようにどうしていいか分からないという動きを連発した。 一手一手が無理であり悪手であった。 今まで悪手と判断される手でもAlphaGoには深い意味があるだろうといったプロ棋士は態度を変えた。 

“いくらAlphaGoが打ったといっても悪手は悪手だ。”

更に少し過ぎるとAlphaGoの悪手が確かだったという事があらわれた。 イ・セドルが地でずば抜けて先に立ち始めたしAlphaGoが守勢で背を向けたためだ。 モンテカルロ ツリー探索を主力にする、AlphaGo以前の世代の囲碁人工知能はAlphaGoの勝利確率が減少していると数値で現わした。 

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▲絶対分からないと思ったAlphaGoの弱点を捜し出し始めたイ・セドル。
 

イ・セドルは秒読みに入っていたが仕損じなかった。 仕損じる程難しい部分もいくらも残っていなかった。 やがて、AlphaGoが降参意志を現わすミニ表示窓がAja Hunagが見たモニターに浮かび上がった。

Aja HunagはAlphaGoの黒石二つを碁盤の上にのせた。 AlphaGoの中押し負け。 イ・セドルが感激の初勝利をおさめる瞬間だった。 ノートパソコンで熱心に中継記事を書いていた記者たちは歓呼して手をたたいた。 

対局を終えたイ・セドルが記者会見場に入ってくるとすぐに‘イ・セドル!’を連呼した。 イ・セドルは負担をみな追い落とした明るい表情で“一度勝っただけなのだがこのように祝いを受けるのは初めてだ。”といった後“後にも、その何にも代えがたい大切な勝利”といった。 


 
中国で百霊杯対局で気が気でなかった韓国棋士もあらゆる手段を動員してイ・セドルの対局ニュースに接していた。 チョ・ハンスン9段は周囲の棋士に“イ・セドルが勝ったことを知っている?”といった。 

記者がパク・ヨンフン9段にカカオトークメッセージを送って“イ・セドル9段がAlphaGoの弱点を捜し出したようです。”というとすぐに“だね~ w”という返事が帰ってきた。 
 


記者は記事を作成している間にも囲碁をよく知らない母と妹からイ・セドルの勝利を祝って喜ぶカカオトークメッセージを受けた。 

人工知能が互先の囲碁で世界最強のプロ棋士に勝った9日と世界最強のプロ棋士が弱点が全くないように見えた人工知能の弱点を食い込んで勝利をやり遂げた13日、世界の歴史は大きく揺れ動いた。 

AlphaGoを製作したGoogleディープマインドのCEOデミス・ハサビス博士とデービス・シルバーリサーチ サイエンティストも喜んだ。 

“私たちもうれしい。 このようなAlphaGoの弱点を把握するためにイ・セドル9段のような天才プロ棋士に挑戦したのだ。”といった。 

イ・セドル9段が1勝もおさめられないならばGoogleAlphaGoチームは失望しただろう。 彼らの当初の目的が世界最強の囲碁プログラムを作る事ではなかったためだ。 改善する弱点を発見できなくて戻らなければならないことだ。 彼らは人工知能アルゴリズムを使って究極的には難病分析や気候モデリングのような難題を克服しようと思うと明らかにした。 

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▲Googleディープマインド デービッド シルバー。 リサーチ サイエンティストとして政策網の強化学習(reinforcement learning)を総括している。 最近では遠視ピクセル入力でアタリ(Atari)社のゲーム プレー方法学習プログラムと同じ強化学習とディープラーニングの結合に対する研究に集中している。
 

4局が開かれる前デービッド シルバー博士と少しの間話を交わすことができた。 公式インタビューの他に記者がAlphaGoチームと違った形式のインタビューをするのはあまり許されないでいたのでただ軽く話しかけてみた。

デミス博士が学生時代に囲碁をデービス博士に教えたのかと尋ねたところ“デミス博士が当時囲碁に対する動機付与をしたことは正しいが囲碁を習ったのは幼い時期父からであった。”とした。 また“GoogleAlphaGoチームは全員碁を打つことができる。 Aja Hunag博士がアマチュア6段で最高手でありデミス博士は1級程度で大部分は初級の実力だ。”といった。 
 
事実以前からグーグル役職員のうちには囲碁好きな人が少なくなかった。 社内囲碁クラブも組織されている。 12日グーグル共同創業者セルゲイ・ブリンも囲碁に心酔して事業を疎かにした自身の過去の話を取り出した。 

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▲イ・セドルvsAlphaGo対局が始まる前GoogleAlphaGoチームが碁を打って忙中閑を楽しんでいる。

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▲セルゲイ・ブリン グーグル共同創業者(右側)が4局で勝利をおさめたイ・セドルの手を自身の両手でがっちり捉えて祝いの言葉をかけている。


デービス博士は“チェスを先に知ったが、チェスがボクシングでパンチをやり取りする感じならば囲碁はよりグローバルと戦略的であり美しいと感じて囲碁が好きになった。”と付け加えた。 

そうだ、これらは囲碁ファンだ。 グーグルがイ・セドル9段の勝利をどう思っているのか分かるようだ。 

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▲イ・セドルとAlphaGoの対局が行われている間、光化門(クァンファムン)では囲碁が中継されている。
原文記事:歴史を二回揺さぶった人間と機械の勝利